機関リポジトリー

二、三年前になりましょうか、図書館関係者から、はじめてリポジトリーというカタカナ語を耳にしたとき、私はThe Chinese Repositoryのことかと思いましたが、どうもそうではないらしい。

昨年には、アンケートが回ってきて、所属部局の定期刊行物や研究会の学術雑誌、博士学位論文、科研報告書などあれば、機関リポジトリーに掲載して欲しい旨の要請が重ねてありました。出版文化(それを担う出版業界をも)を守り育てるのが図書館の役目と思いこんでいる頭には、よく事情が飲み込めません。

リポジトリーは出版なのか、たんなるWeb上の電子コピーなのか、電子出版と考えて良いのか。考えがまとまりません。態度を決めかね、しばらく様子をみることにしました。

自分にはリポジトリーなど縁遠いと思っていたところ、所蔵資料紹介の記事を寄稿した部局の図書館報創刊号が機関リポジトリーに載ることになりました。


拙稿「日本重要水産動植物図と田中芳男」です。
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/68939

始めたばかりのブログで紹介すれば、拙稿について、あるいはリポジトリーと出版文化(狭義の活字文化)との関係について、コメントをいただけることもあるかもしれない、と思いました。

情報人文学あるいはデジタルヒューマニティーズと呼ばれる現象(まだ学問として確立されていないので、あえて現象といいます)は何か、何をもたらすか。単なる人文学(的成果)の情報化か。情報化は人文学(的精神)の衰退、哲学の貧困ではないのか。などなど疑問は尽きません。